この世界の不思議

この世界のいろんなことについて、思ったことを書いていきます。

冥土のみやげは渡さない。

今回は、冥土のみやげは渡さない、

というテーマで書いてみたいと思います。

 

 

誰でも、自分の親は大切にしてあげたい、

と思うものだと思うんですが、

よかれと思って親にしてあげたことが

どういうわけか、「冥土のみやげ」になってしまう

ということがあるんじゃないか、という

変なお話です。

 

 

では、お話をはじめていきましょう。。

 

 

「将棋の子」という小説があります。

 

 

将棋のプロ棋士になるためには、まず、

奨励会というところに所属して切磋琢磨していく

ことになるのですが、

夢破れて脱落していくひともたくさんいる

ところなんですね。

 

 

 

 

将棋の子、という作品は、

そういう将棋のプロ棋士の、卵たちの日常に

焦点をあてた作品なんです。

 

 

さて、その作品に

「成田英二」という青年がでてきます。

 

 

プロ棋士になろうと思って一生懸命がんばるのですが、

やがて夢破れて

奨励会を退会することになってしまうんですね。

 

 

そんなときに、

普段苦労をかけている母親をいたわってあげようと

母親を温泉旅行に連れ出すんです。

 

 

温泉で、母と子水入らずの旅を楽しむのですが、

なんとその直後に

その最愛の母親が亡くなってしまうんですね。

 

 

成田英二は、父親は早くに亡くしていました。

 

 

なので、母親しかいなかったのですが、

その母親も温泉旅行の直後になくしてしまい、

彼は両親ともいなくなってしまいます。

 

 

そこからすごい苦難の人生が始まることになるのですね。

 

 

これが、将棋の子という小説にでてきた

成田英二という青年と、そのお母さんのお話です。

 

 

で、じつは自分も振り返ってみると、

自分ちにも同じようなことがあったんですね。

 

 

うちには、おばあちゃんがいました。

 

 

そのとき、もう80代も後半になっていたんですね。

 

 

僕から見て、母方のおばあちゃんです。

 

 

そのおばあちゃんには、

子供が2人いました。

 

 

僕の母親と、その僕の母親の弟、

つまり、僕から見るとおじさんにあたる人です。

 

 

うちの地元は大阪で、

毎年桜の季節になると、

造幣局桜の通り抜け、という催しが開催されます。

 

 

あるとき、そのおじさんが、

おばあちゃんを造幣局桜の通り抜け

連れてってあげよう、と言い出しました。

 

 

普段、ぜんぜんそんなことをしたことは

なかったんです。

 

 

普段、おばあちゃん孝行を全然できていなかったので、

たまにはそういうことをしてあげようと

思ったのかもしれません。

 

 

おばあちゃんは、どういうわけか

造幣局桜の通り抜けに行こうという提案に

乗り気ではありませんでした。

 

 

それでも半ば強引に連れ出して、

おばあちゃん、おじさん、僕の母、僕、の4人で

桜並木を見て回ったんですね。

 

 

すると。

 

 

それから間もなくして、

おばあちゃんは亡くなってしまったんですよ。

 

 

将棋の子という作品で、成田英二という青年が

お母さんを温泉に連れて行ってあげようと思ったのは、

普段から苦労をかけている母親をいたわってあげよう

と思ったからでした。

 

 

うちのおばあちゃんを桜見物に連れて行ってあげようと

思ったのも、

たまにはおばあちゃん孝行をしてあげようと

思ったからかもしれません。

 

 

ところが、いずれの場合も

孝行されたひとはその直後になぜか

亡くなってしまったのです。

 

 

たった2つの事例なので、

たぶん偶然だろうとは思うし、

世の中にそんなことが頻発しているとも思えませんが、

自分にはどうも、

「なにか普段とは違うことをしてしまったために、

 それが当人にとっては冥土のみやげになってしまった」

ような気がするんですよね。。

 

 

それで思い出したのが、

芸能人のクロちゃんです。

 

 

スキンヘッドの芸能人で、甲高い声で

「クロちゃんです!」と叫ぶのがお決まりのお笑い芸人。

 

 

もともとは安田大サーカスの一員で、

その後、水曜日のダウンタウンとかにも

よく出ていたと思います。

 

 

そのクロちゃんなんですが、

クロちゃん自身はもういいおっさんになっているのに、

いまだに両親から仕送りをもらっているとか公表して

バッシングを浴びたりしていました。

 

 

なんでそんなことをいまだにしているのか、というと、

クロちゃん自身の言によれば、

両親に元気でいてほしいからだ、

ということらしいんですね。

 

 

両親のことを思うなら、

ふつうは両親を温泉旅行とかに連れて行ったり

すると思うんですが、

クロちゃんはなぜか、そういうことはしない。

 

 

むしろ、

両親にいまだに仕送りをさせたりして

両親をこき使っている。

 

 

そのほうが両親を大切にすることになる、と

どういうわけかクロちゃんは思っているんですね。

 

 

この世の中に流れている隠れた法則というのは、

パッと見た感じでは

なかなか、わからないものなのかもしれません。

 

 

大切なひとには、

なにか特別なことをしてあげたい、と思うのが

普通の人情だと思います。

 

 

でも、大切なひとだからこそ、

あえて特別なこととかはなにもしないで、

一見したところ、粗末にすら思えるような

扱いをすることで、

かえってそのひとが命を永く保てるようなことも

あるんじゃないか。

 

 

そんなことを、ふと考えていました。。。