米国と北朝鮮が、本気で全面戦争をすれば、
間違いなく、米国が勝つ。
それは、疑いようもないことだ。
トランプ大統領は、東アジアで戦争が起こったとしても、
米国本土にはなんの影響もない、
死ぬのは東アジアの人間だ、なんて考えているふしがある。
それは一面では、真実だろう。
だからこそ、極端なことを言えば、
たとえグアムが北朝鮮の核ミサイルによって壊滅するようなことがあっても、
米国本土が無傷であって、
しかし、物事は、長期的な視野で、広い視野で、見る必要がある。
米国をやっつけるのだ、などと声高にさけぶ北朝鮮は、
なるほど、目立つ存在だ。
しかしながら、この地球上には、
北朝鮮のように声高にはさけばないものの、
米国のアンラッキーを願う、米国にとっての仮想敵国は、
ほかにも存在するのである。
それはたとえば、ロシアだったり、
一帯一路構想をすすめる中国だったりする。
米国と北朝鮮が全面戦争の戦端を開き、米国が勝利したとしよう。
しかし、そのとき、東アジアの勢力図は、
いったいどうなっているだろうか。
北朝鮮の軍事力から考えて、米国と、日本、韓国のような米国の同盟国は、
自分の側の被害をゼロにしながら北朝鮮をたたく、というのは、
期待できそうにない。
とすると、戦争が終わったときには、
在日米軍基地、在韓米軍基地、グアムの米軍基地は、
壊滅的な打撃を受けているか、相当なダメージを受けている可能性が高い。
また、東アジアにおける、米国の主要な同盟国である、
日本や韓国も、都市部に甚大な被害を受けるなどして、
その国力を、おおきく毀損しているかもしれない。
これが、米国と北朝鮮が全面戦争にはいったあとの、
東アジアのあらたな勢力図である。
そして大切なことは、北朝鮮が崩壊したことが、
すべてのゴール地点、ハッピーエンドなどではない、ということだ。
壊滅した在日米軍基地、壊滅した在韓米軍基地、壊滅したグアムの米軍基地、
国力をおおきく毀損した同盟国である、日本、韓国、
こういったあらたな前提条件のもとで、
こんどは、米国は、東アジアにおいて、
べつの仮想敵国である、
中国やロシアとわたりあっていかなくてはならないのだ。
簡単にいえば、米朝が戦端をひらけば、
北朝鮮が壊滅するだけでなく、
米国とその同盟国にも、深刻なダメージが生じる。
結果として、戦後の東アジア、さらには西太平洋においては、
中国やロシアが今まで以上に抬頭してくることになるだろう。