従来の漢字理論には、自分は、あまり納得していない。
漢字がどのようにつくられたのか、その字源や成り立ちといった
ことに関しては、
古くから、いろんな説がとなえられてきた。
代表的な漢字論に関する古典としては、説文解字がある。
また、日本の有名な漢字学者としては、白川静氏などがおられる。
ただ、主要な漢字論、あるいは、漢字学者の説では、
しばしば漢字をつぎのような観点から説明するきらいがある。
① 古代の人々の呪術的な儀式や祭祀と関連付けて説明することが
多い。困ったら、呪器だの神器だの言う。
その背景にはおそらく、古代の人々は現代とはちがって、
文明もまだ発達していなかっただろうから、神をおそれ、
迷信を信じていたのだろう、というような、勝手な偏見が
あるように思われる。
② 説明が、その都度その都度、行き当たりばったりである。
漢字には、いろんな漢字のなかに共通してあらわれる部分、
部品のようなものがあるのだが、
それらすべてに共通するような根本にさかのぼることが
事実上できないために、
ある漢字ではこう説明していた部品を、べつの漢字では
またちがうように説明していたりする。
③ 自分が理解できない漢字の部品に関しては、音をあらわす
「音符」にすぎない、として、話をごまかす。
自分は、漢字に限らず、文字や言語といったものについては、
普通は知ることの難しいような、この世界のかくれた原理の洞察があって、
その体系的な原理の洞察の上にたって、言語体系、文字体系もやはり、
この世界のかくれた原理を反映した体系的なものになっている、
と考えている。
つまり、言語や文字には、この世界のかくれた原理がひそんでいる、
と考えるのだ。
だから、単に意思を伝達する必要から機械的に記号のような文字や
言葉を生み出した、という考え方には、くみすることができないし、
その都度その都度、個別的にそれぞれの事物にかたどった象形的な
文字を生み出したのだ、というような考え方にも、くみすることが
できない。
たぶん、漢字をはじめとする文字や言語を生み出した古代の人びと
というのは、信じられないほど賢かった、と思う。
漢字をはじめとする文字や言語にかくされた秘密というのは、
容易には見抜くことができない深遠なものであろうし、
たいていのひとは、一生かかってもたぶん、見抜けないだろう。
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