この世界の不思議

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SPDの党員投票と、ドイツの移民政策。

こんにちわ。天機です。

(この記事の字数 約1300字)

 

 

 

メルケル氏率いるキリスト教民主同盟などの与党勢力と、

社会民主党SPD)による大連立を承認するのか、どうか。

 

ドイツでは、その連立の成立にむけての最終関門となる、

SPD党員およそ46万人による党員投票がおこなわれ、

まもなく、その結果がでます。

 

世論調査などでは、連立支持派が多数となっている、という報道も

でていますが、なお、不透明なところがあります。

 

 

 

そもそも、今回のように、ドイツにおいて、政権の成立が非常に難航した

背景には、

ドイツにおいて、新興勢力であるAfD(ドイツのための選択肢)が

非常に勢力をのばし、それが票のかなりの部分を食ったので、

従来支持されてきた有力な政党が議席を減らし、

単独で過半数を維持できなかった、という事情があります。

 

そして、AfDがなぜ、そのように支持をのばしたのか、といえば、それは、

移民をどんどん受け入れようというメルケル首相の方針に

不満を感じる層が、無視できないほど増えてきたからなのです。

 

今回、かりに大連立が支持される結果になったとしても、

この不満にきちんと向き合うことができないかぎり、

ドイツの政治は、なお曲折が予想されると思います。

 

 

 

そもそも、物事には、プラスの側面と、マイナスの側面があります。

プラスを手に入れることも大切なことですが、

マイナスの存在や可能性をきちんと認め、

それに備えるということも、同じように大切なはずです。

 

原子力発電というのは、おおきな福利を僕たちの生活にもたらしてくれる

可能性がありますが、いっぽうで、深刻な事故を引き起こす可能性もあります。

 

その事故の可能性のほうにきちんと目を向けて、

十分な高さと厚さをもった防潮堤を設置する、などといったことをせずに、

原発はクリーンなエネルギーです、などと、さかんにテレビCMをうつことに

腐心した結果が、あの原発事故なのです。

 

液晶事業に過度に傾注したシャープも、原発事業を強硬に推進した東芝も、

海外企業の買収につきすすんだ日本郵政も、

みな、その「積極経営」姿勢が裏目にでて、巨額の損失をこうむりました。

これも根っこはおなじで、

プラスを手に入れようと腐心するあまりに、

マイナス面への考慮と対策、慎重な検討がおろそかになった結果なのです。

 

 

 

移民政策についても、おなじようなことがいえます。

 

移民を受け入れよう、外国との結びつきを強めることは素晴らしいことなんだ、

と考えることは、

移民の受け入れ、外国との結びつきの強化による、プラス面の獲得を

強調するものですが、

他方で、それによって、

犯罪や社会不安の増大、自国内の雇用や福祉の不安定化、といったマイナス面が、

現実にでてきているわけです。

 

政治は、プラス面だけでなく、こういったマイナス面に対しても、

きちんと配慮すべきです。

 

いくら、移民受け入れは素晴らしいことなのだ、

と指導者が掛け声をかけたところで、

国民がそれを現実のものと感じることができなければ、

やがては、シラケた国民が、そのような指導者にそっぽを向くことも、

多くなってくるでしょう。