復興のために10億円寄付した、といわれている。
すごいね。なかなかできないことだね。
そういった感想を持たれる方も、多いのではないだろうか。
しかし、寄付した額の大小を考える際には、
自分の持っている総資産との比率で考えなければ、
ほんとうのところは、よくわからないような気がする。
2017年9月現在で、
柳井正さんの持っている総資産は、145億USドルだといわれている。
1ドル107円とすると、
1兆5515億円にもなる。
他方で、東日本大震災で寄付した金額は、10億円だ。
ここで、10億円を1兆5515億円で割ってみると、
0.00064ほどになる。
つまり、寄付した金額10億円が、
総資産1兆5515億円に占める比率は、
0.064%ほどだということになる。
この同じ比率を、一般庶民に適用した場合にどうなるかを考えてみよう。
預貯金が銀行に1000万円ほどあり、それが総資産という人の場合は、
東日本大震災に6400円ほど寄付すれば、
寄付金額と総資産の比率は、ほぼ、柳井正さんと同じになる。
貧しいひとで、
預貯金が銀行に100万円ほどしかなく、それが総資産だという人の場合は、
東日本大震災に640円ほど寄付すれば、
柳井正さんと同じ比率だ。
中学生か高校生であって、
自分の貯めたおこづかいや、お年玉をもとにして、
貯金が20万円ほどあり、それが「総資産」だ、というような子は、
東日本大震災に128円ほど寄付すれば、
柳井正さんと同じ比率だ。
上にあげたような金額を寄付すれば、
柳井正さんとおなじような比率になるわけだが、
日本の税制でも、累進課税制度が採用されているように、
持てるものは、より大きな金額を、
持たないものは、より少ない金額を、それぞれ寄付したほうが、
公平、公正の原理にはかなう、といえるかもしれない。
であるならば、
総資産が少ない人なんかは、
上に述べたような金額よりももっと少ない金額を寄付したとしても、
柳井正さんとおなじような貢献をしている、
と言えないこともないのである。
実際には、東日本大震災のようなおおきな自然災害が起こったときには、
1000円、5000円といった金額を寄付したひとも、
それなりにいただろう。
だとするならば、
寄付金額と、自分の総資産の比率で考えるならば、
われわれ一般庶民もまた、
ユニクロの柳井正さんとくらべて、遜色ない金額を寄付している、
と言えるのだ。