状況を分析するときには、
時代のおおきな流れを把握する、洞察することが、とても大切になる。
では、現在の状況とは、どのようなものなのだろうか。
自分が思うに、それは、
過去30年間ほど続いてきた時代の流れが、
おおきな転換点をむかえていることだろう、と思う。
いまから30年ほど前には、どのようなことが起こっていただろうか。
1989年ごろから1991年ごろにかけて、冷戦が終結した。
西側陣営と東側陣営の対立だったのが、そのころから、
米国一強の時代へと転換していった。
また、1993年には、EUが発足した。
こういったことが、それからおよそ30年ほどがたった2017年、
どのように転換しつつあるのだろうか。
まず、米国では、トランプ大統領が米国第一をかかげはじめたように、
米国国内の分断は深刻なものとなり、
米国の指導力にかげりが見え始め、世界は指導者をうしなって、
混迷をはじめたようにみえる。
それにつづくドイツ統一、
そういったことを主導したコール元ドイツ首相も、最近亡くなった。
イギリスは昨年EUから離脱し、EUは発足以来はじめてとなる、
離脱国をだすことになった。
そして、北朝鮮の問題だ。
北朝鮮と韓国は、現在でも休戦状態であるにすぎないが、
この北朝鮮という国の存在は、かつて存在した冷戦構造の、
最後の残滓のようなものなのである。
それが、いまになって、国際問題として急浮上してきた。
こういったことすべてが、
冷戦構造の崩壊に始まった、ここ30年ほどの世界史の流れが、
おおきく音をたてて変わろうとしていることを、象徴的にしめしている。
こういった時代の転換点にあたって大切な態度というのは、
歴史が教えてくれている。
それは、
古い時代のほうに固執するのではなく、
積極的にあたらしい時代のほうを切り開きにいく者が、
いつも勝利をおさめる、ということだ。
ここ30年ほどの世界史の潮流が、
なにも絶対的に正しいものなどではないのだ。
ここ30年ほどの世界で支配的だった哲学やイデオロギーを
金科玉条の如く守り続ける者は、
まちがいなく時代の流れに取り残されることになるだろう。