拾得物の取り扱いに関して、現行法では、
拾得者に対して遺失者の個人情報を警察が提供することは、
なんら問題がない、とされている。
謝礼のやりとりをするために必要だからだ。
だが今、
その個人情報が提供されることで、
遺失者が拾得者からまとわりつかれたり、といった、
あらたな問題が発生している、という。
思うに、
拾得者に遺失者の個人情報が提供されることによって、
そのようなトラブルが発生することは、回避されねばならない。
いっぽうで、
拾得者が遺失者から謝礼をもらうのは権利であるから、
その謝礼の受け渡しは、確実に履行される必要がある。
たとえばであるが、
拾得者が、正当な権利である謝礼の履行をもとめて遺失者と連絡を
とろうとしているのに、
遺失者の側ではその義務を履行せず、のらりくらりとかわしながら、
拾得者がしつこくまとわりついてくる、などと主張するのは、
許されないことだろう。
ここはひとつ、
拾得者と遺失者のやりとり、そして、謝礼の受け渡しは、
すべて、警察を介してのみ、おこなうようにすればどうだろう。
警察は、拾得者から得た拾得者の個人情報を、
遺失者には提供しないようにする。
いっぽうで警察は、
遺失者から得た遺失者の個人情報も、
拾得者には提供しないようにする。
両者の情報は、警察のみが突合できるようにする。
そして、謝礼の受け渡しに関しては、現在は、
謝礼額は拾得物の金銭的価値の5%から20%の範囲と
定められているが、
これを一律に10%と決めてしまう。
そのうえで、遺失者は、遺失物が見つかったとの連絡を警察から
受けたさいには、
遺失物の金銭的価値の10%に相当する金額を、警察に供託する。
この供託がなされない場合には、
遺失物は遺失者に返還されないものとする。
そして、拾得者は、あとで警察からその供託金のみを受領し、
情報のやりとりはいっさい、おこなわないようにするのだ。
そうすれば、
個人情報の提供によるトラブルを防げるいっぽうで、
謝礼の受け渡しも確実に履行されることになるのではないだろうか。