この世界の不思議

この世界のいろんなことについて、思ったことを書いていきます。

ありがとうございました、を言わない店員。

お店で買い物をし、精算した時に、

ありがとうございました、を言わない店員が、ときどきいる。

 

いつごろからなのだろうか。

十年、二十年ほどまえは、それほどでもなかったような気がする。

最近になって、そういう店員に出くわすことが、

まれではなくなったような気がするのだ。

 

インターネットで、

ありがとうございましたを言わない店員、とか、

ありがとうございましたを言わないコンビニ、とかで検索すると、

それなりにヒットする。

 

決して少なくはないひとたちが、そういった店員に対して、

違和感や不満を感じているのだろう。

 

この現象をどう考えたらいいのだろうか。

 

まず第一に、支払いを済ませたお客さんに対して、店員が

ありがとうございました、と言うのは、当然のことである、ということだ。

 

店員さんはお客さんに対して、商品を買ってくれてありがとう、

お客さんは店員さんに対して、接客してくれてありがとう、

だから本来は、双方がありがとうと言うべきなのだ、

なんていう意見もなかにはあるだろうが、それは違うと思う。

 

店員のありがとうございましたは、業務内容にふくまれている。

つまり、仕事なのだ。

まともな経営者であれば、従業員に対して、あいさつは徹底して教育

しているはずである。

 

もしかりに、あいさつなんて必要ない、単に、商品を受け渡しすればいいのだ、

ということであれば、接客は、機械やロボットでもじゅうぶん事足りる

わけだ。

 

そうではなくて、人間の従業員を雇用しているということであるからには、

当然、人間に求められることが、業務内容としてはいってくる。

繰り返すが、店員がお客に対してありがとうございました、と言うのは、

仕事の一部なのだ。

 

そして、その仕事に対しては、経営側から従業員側に対して、

お給料が支払われている。

ということは、

店員がありがとうございました、と言うことと、それに対して

店員がお給料をもらうということ、この2つが対価関係にたっているのである。

決して、

店員がありがとうございました、と言うことと、それに対して

お客が店員にありがとうございました、と言うこと、この2つが対価関係

にたっているわけではないのだ。

 

考えてみればあきらかなことである。

お客は、買い物をしたところで、だれからもお金なんてもらってないよね。

 

店員がありがとうございました、と言うか言わないかなんて小さなこと、

そんなことに目くじらたてないでも、なんていう意見もあるかもしれないが、

それも違う。

 

あいさつは、人と人とが気持ちよく社会生活をおくっていくうえで、

欠かすことのできない大切なものだ。

決して、小さなものなんかではないのである。

 

蟻の一穴、という言葉があるが、そんなことは小さなこと、と考える態度は、

やがては拡大し、いろんなことをどんどん小さなこととして切り捨てていく

ことにもなるだろう。

それが結果的には、社会における基本的道義の崩壊につながっていったとしても、

不思議ではないのだ。

 

ありがとう、という言葉は、いろんな場面で登場する。

そして、店員さんがお客さんに対してありがとうございました、と言うのは、

その典型的で基本的な場面のひとつなのだ。

 

ありがとうございました、と言うことは、決して小さなことではない、

と言った。

そして、もし仮にそれが小さなことであったとしても、

小さなことはすなわち意味のないこと、小さなことはすなわち無視してよいこと、

には、決してならないのである。

 

店員さんは、なぜ、ありがとうございましたを言わないのだろうか。

もしかしたら、うっかり忘れていたのかもしれない。

あるいは、その日の虫の居所が悪かったのか、あるいは、

そのお客が気に入らなかったのかもしれない。

 

たとえそうであったとしても、お金をもらって仕事をしている以上は、

自らの感情のままに行動してはいけないことは、明らかである。

 

人間のこころのなかには、2つの部分がある。

1つは、好きか嫌いか、自分は何をしたいのか、何が気持ちいいのか、

何が不快なのか、という部分をつかさどる、感情の部分。

もう1つは、何が正しくて何が間違っているのか、どういう行動をすべきか

といったことの判断をつかさどる、思考の部分。

 

自分が気に入らない、不満だ、という感情のままに、自らを制御できず、

その気持ちをそのまま外界にあらわしてしまう人というのは、要するに、

思考の部分が弱いのである。

 

お客が気に入らないと思えば、ありがとうございましたを言わないという行動

に出てしまう店員、

自分が気持ち悪いと思えば、その自分の感情のままに「キモい」と発言する

女子高生、みな、根っこは同じことだ。

 

もし仮に、世の中のひとびとがみな、自分の感情のままに行動し、

意思や思考による制御がまったくなかったならば、

社会はめちゃくちゃになってしまうだろう。

 

意思や思考によって、他人に無用の不快感を与えないようにみずからの

行動を制御する、というのは、

人と人とが気持ちよく社会で暮らしていくうえでの必須のスキルともいえる。

それができないということは、端的に言えば、

コミュニケーション能力が欠けている、ということにほかならない。

 

では、こうした事例を見かけたときに、お客である我々の側には、

いったい、どういった対処が考えられるのか。

 

ひとつには、店側に対して、自分が不快な思いをしたというその苦情を、

はっきりと伝えることだ。

コンビニであれば、本社に電話するのでもいいだろう。

イオンのようなショッピングセンターであれば、ご意見カードのような

ものを設置している店もあるので、そこに苦情を書くのもいいだろう。

 

もうひとつは、インターネットで、

ありがとうを言わないひと、

といったワードで検索してみることだ。

ありがとうございましたを言わない店員に対して、自分と同じように

不快感を抱いているひとが多数いることが分かり、

おかしいのは店員のほうである、という確信を強くすることができるだろう。