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男性差別、ときどき、世界への反逆。

この世界についての非主流的な意見と、男性差別についての考えをすこし。

女に容赦のない太公望①-覆水盆に返らず。

覆水盆に返らず、という故事成語がある。

一般に、一度起こってしまったことは、もはや二度ととりかえしがつかない

のだ、ということを言い表すときに使われる言葉だ。

この言葉の、もとになった故事を、ご存じだろうか。

ググれば、それなりにでてくるが、あまり詳しい内容はないかもしれない。

今回はそれを、封神演義にさかのぼって、みてみよう。

 

その昔、中国に、太公望というひとがいた。

太公望は、若いころ、うだつがあがらず、頭角をあらわしはじめたのは

80歳になってからで、その後160歳まで生きた、という伝説がある。

その太公望に、嫁を世話したひとがいた。

嫁の名を、馬千金という。

もうほとんど老女といっていい年齢の女で、容貌は醜怪、そして、

その年齢でいまだに処女だった。

太公望は、若いころ、運がすごく悪かった。

外へ塩を売りに出かければ、大雨が降って塩は流されてしまい、

小麦を売りに出かければ、大風が吹いて小麦は飛ばされてしまった。

生計をたてるためには、懸命に働かなければならなかったのだろうが、

太公望は、焦るふうでもなく、読書をして過ごしていた。

嫁である馬千金は、

こんな厄病神と暮らしていては一生悲惨だわ、とばかりに、

離縁を申し入れた。

太公望は、自分はいまはこんな状態だが、将来、きっと高位にのぼる、

いま離縁をしてしまうと、将来、後悔することになるぞ、と言って

諌めたのだが、馬千金は聞く耳をもたず、離縁を急いだ。

そののち、太公望は文王の知遇をえて、周の軍師となり、高位にのぼった。

馬千金は恥知らずにも、太公望のもとに舞い戻って、復縁を願い出た。

太公望は静かに、盆にある水を地面にこぼし、この水を盆に戻すことが

できたら、願いをかなえよう、と言った。

馬千金は、地面をすくってみた。しかし、つかめたのは泥だった。

馬千金は、必死に地面をさらった。

馬千金の爪のあいだからは、血がにじみ出た。

しかし、ついに水をもどすことは、できなかった。

絶望した馬千金は、木に縄をくくりつけ、首を吊って死んでしまった。

そののち、周の軍師として殷を倒すことに功のあった太公望は、

斉の太祖になった。

そこではじめて太公望は、若くて美人の嫁を多数はべらせ、

楽しく余生をすごした。